船に恋して50余年
オンもオフも一途なまま
黒瀬 浩二
船長
01
船乗りの父の背中に憧れ
船に入り浸った幼少期
瀬戸内海の島育ち、父が同じガット船の船乗りだったこともあり「大きくなったら船に乗るんだ」と幼少期から信じて疑わなかった。小さな頃から遊び場は港、父と一緒に船に乗せてもらうことも多く夏休みは1ヶ月のほとんどを船で過ごすほど。そして父のその働く背中を見ながら憧れる気持ちは膨らんでいくばかりだった。そして中学を卒業する頃には進学するよりも早く乗船したい。その気持ちで就職をした。
02
荷物と共に次なる町へ
そこでの出会いもまた楽しいもの
そして25歳になる頃には船長という役割になり、船や会社こそ変われど、以来約25年間そのポジションを努めている。仕事の内容は航海予定に合わせて船をきちんと運行すること、そしてその安全管理を徹底すること。天候にも左右される船という乗り物を、経験や知識に基づきナビゲートしていく仕事だ。朝積荷をし、夕方には着岸した港で荷を下ろす。大きく重い荷下ろしのクレーンの操作も大事な仕事だ。そしてまた荷を積み込み次の町へと旅をするように運搬する。
03
触れるとわかる船の魅力
そしてその密度の濃い時間
空き時間には時間さえあれば、SNSで他の船の動画を検索。時折下船して自宅に帰るとほっとする気持ちもあるが、しばらくすると船のことが気になって落ち着かない気持ちのほうが優ってしまうくらい、寝ても覚めても船にどっぷり。運搬船は拘束時間こそ長いけれど、規則正しい生活も自然とできるし、家族のような仲間もできる。仕事をしている時が何よりも幸せと胸を張って言える、そんな船の魅力を乗船して体感してほしい。